前回に続いて、最後は断食について書いてみます。
彼らが断食をするのは1年に1か月で、その期間(その1か月)のことを、 【ラマダン】 といいます。でも、断食と言っても1か月まるまる断食してたら誰でも死んじゃう。。
ラマダンは太陽が昇っている時間帯の断食です。その1か月の時期は新月が確認されてから決まるので、毎年若干時期は違います。この断食の義務は、前に書いた六信五行の “五行” の中のひとつで、 食事、水分、喫煙、性交渉 を控えなさいって要求するものなんだそう。
断食をすることによって、自己犠牲とか、空腹を経験したことによって得られる飢えた人への共感心とかを育むことがもともとの目的だったそうです。いろんな欲を捨てることで、神様への奉仕に没頭すること。断食をすることによっていろんな邪念を振り払って身を清めるっていう考えなんだって友達は教えてくれました。
ラマダン中は日が沈んだら家族や友達が集まって1日分の高カロリー食を食べます。サウジの彼の街では(どこでも大体は同じなのかな?)日が沈むと食事をするために、みんな一目散に家に帰ったり、逆に道に人がたくさん出たりして、貧しい人に夕食をご馳走したりするんだって。
ラマダンはその時に自分の母国にいなくてもすることで、日があるうちは食事もしないし水分も摂らない。。。ってことは、日が長い国にいたら。。。?!?!
事実イギリスの夏はとっても日が長くて20:00くらいまで明るい時期もあったので、サウジアラビアほど気温が高くないとはいえ、大変だろうなってすごく思っていました。毎週金曜日の授業後はリバーサイドにみんなで集まってお酒飲みながら空いた缶を鳴らしながらスナック片手に歌ったり踊ったりしながら、いつも夜遅くまでゆったりとした時間をみんなで過ごしてたんだけど、モスリンの彼らももちろんその場には来てるけど、もちろんお酒なんてタブーだし、ラマダンだから食べられないし。モスリンはいつもその場にいながらフットボールしたり走り回ったりして汗だくになりながら日没を待っていました。
汗流しながら走り回って動きまくってたら余計にお腹減るじゃん!!!って思ってスゴイ心配したのをはっきり覚えています。。
彼らは自分たちの習慣を決して相手に強要しないし、“あなたはあなた、わたしはわたし” って相手の価値観を尊重してくれるから、わたしも彼らと話をしながらお酒も普通に飲んでました。
その長い長いラマダンの1か月が終わる時は、彼らの中ではお祭り騒ぎになるくらいおめでたいことで、家族をはじめとするいろんな人への愛情とか感謝の気持ちで溢れるんだって♡
ひとつ前に書いたスカーフの下の姿を見せてくれた女の子は弟と二人でイギリスに留学してたんだけど、その弟はラマダンが終わった時お姉ちゃんにシルバーの指輪をプレゼントしていました。 “いつもありがとう、これからもずっとよろしくね。大好きだよ。” って。
そのエピソードをピュアで真っ直ぐな視線で語る弟に、その時のわたしは心底感動しました。ラマダンって辛そうだな。。なんでそんなに苦しい思いして毎年毎年やるのかな。。って純粋に不思議に思ってたけど、その疑問をそのまんま質問したら、 「辛い時もあるけど、そのぶんだけ家族とか大切な人に感謝できるし、僕たちの健康にとっても良いことだから1年に1か月しか出来ないのが残念なくらいだよ。もっとやりたくても出来ないし、やりたくなくてもやらなきゃだから、この1か月は僕らにとってとっても意義のある期間なんだよ。」 と話してくれました。わたしにとって凄く新鮮で、斬新でした。
彼らのことをこんなにこんなに好きになれて、彼らからこんなにこんなに多くを学べて、わたしは心から彼らと出会えたことに感謝しています。イスラム教って聞いたらプラスもマイナスもいろんな意見が飛び交う今だけど、これを読んでくれた方たちがちょっとでもあたたかい気持ちになってくれたらわたしはとっても嬉しいです。